私のいとおしい残念な男達
黒木は詰めてモモちゃんと座る私の隣へ、阿部君はこれ以上黒木に小突かれないように反対側の舞子の隣へ座った
そう言えば、こうして黒木と一緒に食事をするのは久しぶりだ
和馬と別れてからは敢えてメールや電話もすることないし、今までだって2人だけで理由もなく食事に行ったこともなかった
(和馬と3人の予定が都合で2人になった事はあるが……)
和馬の事以外話をする会話も見当たらない……
「これ、何飲んでんだ?」
黒木の方から話し掛けてきた
「これ?杏露酒、あ」
そのまま私のグラスを取り上げ口にする
「甘っ」
そりゃそうだろ、あんたみたいに生クリームが嫌いな人には
「濃いなこれ……」
「ロックだもん」
「…………何杯目だ?」
「え?3杯目だけど……ってえっ?!」
今甘いって顔しかめてたのにっ!!
人のお酒、一気に飲み干しちゃったよぉ
「うわっ、のどに残るな」
そりゃそうでしょっ、一気に飲めば
「なに、ちょっとぉ……」
私の杏露酒……
そのまますぐに店員を呼んで、自分たちの飲み物と、つまみを注文している
「あ、ついでに私ももう一杯………」
「あと、梅酒のソーダ割り氷多めで」
人の注文を遮ってそう被せてきた
「かしこまりましたぁ〜」
元気のいい店員さんが嬉しそうにそう言って注文を繰り返す
ちょっとちょっと、杏露酒のロックが入ってないじゃん!