私のいとおしい残念な男達

そんなデリケートな話、妻帯者だからこそ平気で聞けるんだろうなぁ

「出てない訳でもないんだけどね、彼は結婚願望あるから……」


「「えっ?!」」

舞子の答えに私とモモちゃんが二人同時に声を出した

「聞いてないんだけど……」

「別にまだ付き合って半年だし、結婚考える前にまず1年間のイベントを恋人として迎えたい、みたいな……?」

そう言って、飲んでいるグラスワインを少し持ち上げ揺らす舞子さん

「………ちゃんと考えてるんだぁ」

そうだよなぁ、3人の中で一番現実的なのは舞子だもん

「小夏先輩だって、もし桐生さんと別れてなかったら今頃結婚して海外で暮らしてたんじゃないんですかぁ?」

モモちゃんが片手で頬杖つきながら隣の私に口を尖らせて言う

「ははっ……」

和馬と結婚話なんてした事なかったよなぁ……



一瞬、記憶が引き戻される

『小夏、それでも俺と二人でロスに行ける?
………無理だろ?』


思い出せばまだ胸に針が刺さる

「…………」



「黒木君にはないの? 結婚願望」

頰が引き攣りながら笑う私を気にしたのか、
話題を変えるように舞子が少し身を乗り出して黒木にふった


< 191 / 410 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop