私のいとおしい残念な男達

「えっ?」

分かってる……?大丈夫って何が?


「ここまでいろいろな策を尽くしてもナビかない小夏さんだからこそ、付き合って欲しいとお願いしてるんですから」


にっこりとそう言って笑顔を向けた水野君に、私は首を傾げた

「ええと……?」

ちょっと意味が分からない
その気がないから付き合って欲しいって?



「だから少し付き合ってほしいんだ、僕のついている噓に」


「嘘って………?」


とにかく、どうゆう事なのか聞いてみたところ
そこには少々複雑な背景があった



「実は兄には今、結婚を考えて付き合っている彼女がいてね、既に家族にも紹介済みなんだけど……」

ほぉ、それはおめでたい………
会社の代表取締役の長男で副社長の婚約者なんて、さぞどこぞかのお嬢様だろう

「紹介されて初めて知ったのは、その彼女が僕の元カノだったって事なんだよ」


「………え?」

その事があっさりばれてしまい、お兄さんに疑われた挙句関係ないならお見合いをしろと勧められたらしい


要は勧められたお見合い話を断るために、
すでに付き合っている彼女がいると宣言してあるって事か?

一人暮らしの部屋に化粧品をおいて、いかにも女性の出入りがあるかのような小細工だったのか、あれ…………手が混んでるなぁ


「いい加減紹介しろって言われるまでは誤魔化していたけどね」

結局ここまでで、誤魔化し切れないから相手を探し当てたのが私だって訳だ

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