ただ、好きなだけだった。



その日は確か………



3月の終わり頃から4月の始めー……



まだ肌寒く感じる……春の始めだった…。




−−−−−−−−−−


10年前ー栗崎家……



栗崎家のとある一室。


そこには、私達栗原家。


そして親戚一同……。


様々な人々が集まっていた。



「ぅああー!何で春香まで……何で春香までぇえー…!」


今の百合からでは考えられない……狂ったような泣き叫ぶ声。



まだ4才の私には……よくわからなかったんだ……。


“人の死”“命の尊さ”



そう、何もかも……。




その時は、何で皆泣いているのか……全然わからなくて…姉と繋いでいた手をぎゅっとにぎりしめる事で、何とも言えない不安を幼い子供なりに……示していた。
< 65 / 114 >

この作品をシェア

pagetop