哭く花
既に、私の家族が居るのは、

6階の入院病棟だった。

階段で登るほどの体力がない私を気遣って、

先生はエレベーターに私を乗せてくれた。

そして先生もその後から乗ると、そのまま、

まだ何人か乗ろうとしていた人のために

エレベーターを開けたまま手前に立っていた。

奥行の広いエレベーターも、

車椅子の患者さんが何人かのるとすぐに身動きが取れなくなる。

エレベーターは、

私と先生を手前と奥で離したまま、6階へと運んだ。

しばらくすると、

チン、と6階へ止まったことを知らせる音が鳴る。

先生はすみません、降りますので、と

私を外へと出してくれた。





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