イケメン 一家に囲まれて

正直羨ましいと思った、他人から信頼の目を向けられ暖かい場所にいる戸村さんを。


私は他人から信頼の目を向けられたことなんてない。


向けられる目は、哀れんだ目と見下した目を他人から向けられたことしかない。


唯一親がいる暖かい居場所をなくして、残るのはいじめでできた傷と親がいなくなった失望感。


でも、心の奥では羨ましくなんかない信じても他人はどうせ裏切る、一人の方がいいって。


私は心の奥の言葉に従った。


胸にある失望感と仲間が欲しいという欲望に蓋をして、これでいいんだと言い聞かせた。


「その子が僕に惚れたら?」


「その時はクビだろ?」

「当たり前だ」

惚れるなんてことありませんよ、性格捻じ曲がってる男の人にはね。








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