Time after time たとえ何度忘れても ・・・
「私、ケーキ作ったりしてたんですね・・・」
「弥生は料理が得意だったから。」
「そうなんですね・・・」
オレが放つ弥生の情報を、弥生は一つ一つ噛み締めるようにして聞いていた。
「夏になると今みたいにここに座ってスイカ食べたり、アイス食べたり、庭で流しそうめんしたり・・・・って、なんか食い物ばっかだな。」
オレが笑うと、つられるように弥生もクスクス笑う。
だが、カレーを口に運ぶ横顔は、まだまだ緊張を携えていて、オレは、なんだか違和感を覚えた。
そしてその違和感は大きくなりそうな気がして、オレは何か話題を探した。
「そういえば、さっきスマホが鳴ってたみたいだけど?」
「・・・・そうなんです。それで、あの・・・私、今こういう状況なので、出ない方がいいですよね・・・?」
「誰からの電話だったの?」
まさか、あの男が連絡してきたのだろうか。
「たぶん、大学の友達だと思います。私が電話に出なかったらメールが来て、大学の課題のことが書かれてましたから・・・」
「へえ・・・。それって、女の子?」
「たぶんそうだと思います。」
弥生の返事にホッとして、ホッとした自分に、小さく苦笑う。
「しばらくは、電話には出なくてもいいんじゃない?緊急の用事なら何度も掛けてくるだろうから、その時はまた考えよう。何なら、オレが出て事情を説明してもいいし。ただ問題は、メールだよな。弥生はSNSはやってなかったから、そっちの心配はないと思うけど・・・」