【短】本当に大切なもの
式が終わると順番に
体育館を出た。


信じられなかった。
中村が黙って学校を去るなんて。


あたしはいつの間にか
中村が居なくなって
寂しいと思い始めていた。


信じられないという気持ちのまま
あたしはぼんやりと歩いていた。

職員室の前を通ったとき
学年主任に声をかけられた。

この先生とはよく喧嘩して
互いにぶつかる。


「中村先生、挨拶もできないで学校を去ることになって残念だったわね」

いきなり中村の話題を出され
あたしは驚いた。

「中村…なんで居なくなった?」

この先生に久しぶりに
口を開いた。

「旦那さんが急に体調を崩したらしくてね、これからは家で看病するらしいの。それで今日は旦那さんの手術の日」


嗚呼、だから先生は
今日来れなかったんだ。



「職員室でまりな、まりなって…いつも言ってた」





「中村先生、あなたのこと1番気にかけてたよ」
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