徒花と蝶
昔の私なら、すんなり言っていただろう。
何でも、祐輔に真っ先に相談していたから。
だから、私はきっと、責めてしまう。
「…花楓、変わったな」
祐輔のその言葉に、カッとなった。
確かに私は変わった。
…でもそれは私だけじゃない。
祐輔だって、私からしたら変わった。
だから私は、『都会の女になったでしょう?』と笑って言えばよかった。
真剣になって、意地になって返さないでよかった。
なのに、
「…変わったのは、誰のせいだと思ってるの」
言えないのは、
「…花楓?」
冗談で交わせないのは、
「祐輔が『東京に行け』って言わなかったら、私は…っ」
―――この人生を私が後悔しているからで。