隣にいたのはあなただった
そんな話をしていると、2つむこうの電柱の明かりの下に大輝を見つけた。
花火をする手が止まっていたためこちらに明かりは無く、大輝はまだ気づいていないようだ。
「お兄ちゃん!!お帰り!!」
菜穂ちゃんが声をかけると、大輝は眠そうにこちらに手を振った。
大輝は朝からバイトに行っていると菜穂ちゃんが言っていたっけ。
「おす」
私が片手をあげると、大輝は目を細める。そしてようやく私に気づいたようだった。
「雛子来てたのか。菜穂の相手してくれてありがとな」
大輝は私たちの前に立ち止まって菜穂ちゃんを見る。
「子供扱いしないでよね馬鹿兄貴」
菜穂ちゃんはふてくされた顔をして立ち上がった。大輝はからかう様に笑っている。本当に仲良がいい兄妹。
菜穂ちゃんは大輝の鞄を持って玄関の方へと向かった。
「お茶持ってきてあげるから、お兄ちゃんも花火しなよ。花火買ってきてくれたお礼!!」
そう言うと菜穂ちゃんは家の中に入ってしまった。
「2人とも鈍感なんだから…」
そう言ったのを、私も大輝も気づいていなかった。
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