笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
「お待たせ」
しばらく経って、私がソファでスマートフォンを弄っていたとき。
奏の声がして、すぐに画面から顔を上げた。
「わ、凄い美味しそう」
奏が私の目の前のテーブルに置いた皿には、綺麗に彩られたパスタが盛り付けられている。
トマトベースなのだろう、赤色のソースにパスタが絡んでいるその料理は、一瞬で私の食欲をそそった。
「トマトクリームパスタ、食べてみ」
奏は私の向かい側の床に座ると、笑顔で私にフォークを渡した。