笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
カシャ――
小さな音を立てて、スマートフォンの画面は奏の作ったパスタを四角く切り取った。
奏との思い出が、また、ひとつ増えた。
形に残さないと忘れてしまうわけではないけど、形に残せば絶対にいつまでも覚えていられるから。
こうやって、一瞬の小さな時間を、何気ない時間を、ずっと取っておきたいから。
私は、写真が好きだ。
「ほら、早く食ってみろよ」
奏は笑って、私が食べるのを待っていた。
「あ、いただきます」
私はそう言って、軽く手を合わせた。