笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


不意に名前を呼ばれて、教室中の視線が私に集まる。


こういうのは、本当に苦手だった。


できるだけ、視線を浴びたくなかったから。


極力目立たないように、生きてきたから。


だけど。


「――はい」


今の私なら――できると思った。


私は立ち上がって、黒板までの道を歩き出す。

< 425 / 463 >

この作品をシェア

pagetop