笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
私が私の名前を嫌っているなんて奏は知るわけもないし、むしろ初対面でも気軽に名前を呼んでくれたことを、嬉しく思っていいのだろう。
だけど、言い聞かせても、そうは思えなかった。
好きではないという気持ちを、隠せなかった。
「好きじゃねぇのか、名前」
奏は私に問いかけた。
不思議そうな笑顔で、私を見つめる。
その言葉に頷くのが、何故か一瞬辛くも感じたけど。
私は一度、首を縦に動かして、コクンと頷いた。
「…みぃって、呼んで」