ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
ホームセンターで尚人くんとペンキを揃え、壁を三日がかりで塗っていった。数時間で乾燥するので、翌日には上塗りできる。
空と海を塗った上に動物たちを乗せていく。バランスが難しそうな構図だったからどう壁に描くのかと思ったら、プロジェクターで映して輪郭をなぞった。なるほど。
尚人くんが言うには、見ながらでも描けるけど今回は急いでって頼まれてるんだって。
「尚人ー、それ今日中に仕上がる?」
打ち合わせをしていた平井さんが、奥まで来て脚立を見上げる。
「急げばなんとか」
「賞とれたんだってさ、原田くん。明日集まってお祝いするかって。ついでにこの絵もお披露目しよう、よくできたし」
私に向かって振り返った平井さんはニコニコと笑ってる。
「結衣ちゃん、シゲまた連れ出してやってよ。あいつはもっと遊んだほうがいいんだよ、若いんだから」
「仕事しすぎですか?」
「夏の間にやりたいことはいろいろあるけど、量は大したことないんだ、あいつキャパあるし人にもの頼むのはうまいし。でも苦労しちゃったからか落ち着きすぎてるのが気に入らない。尚人と結衣ちゃんが来てからちょっといい感じになってきた。頼むよ、ほんと」
大きな手で肩を叩かれた。尚人くんと私、かぁ。