ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?
シゲも後で顔を出した。あの白い鳥がきれいと伝えたら「あれ、お前っぽいな」と変なことを小声でぼそっと言われた。
私? どういう意味?
「平井さんに聞いた? 結衣、明日休むって言ってたよな。来られない?」
「私もいたほうがいいのかな。手伝うことある? 純だから断れるけど」
「いや……でも原田さんのお祝いだから優先して」
それだけ言って行ってしまう。なんだ、偉そうだな。あ、偉いのか、代表だった。
見上げると脚立の上で尚人くんが笑っていたので、不満を言ってみる。
「あれがちょっといい感じ?」
「妬いてるなら素直に言えばいいのにねぇ。ガキだよね」
だからそういう話じゃないってば。
「シゲが高校の時少し付き合ってた子、結衣に似てたよ」
後ろ向きに降りてきた尚人くんが言う。なんだそれ。私がそんなの喜ぶと思う?
「尚人くんは、春ちゃんにちょっと似てるって言ったよね」
「言ってたね。俺と付き合ってみる?」
「春ちゃんの代わりなんかいらないから、大丈夫」
だいたい見た目だけで、中身が似てない。尚人くんはシゲと一緒で中心にいるタイプの人。春ちゃんに中身が似てるのは純の方だ。繊細で、自分をはみ出し者だと思っている。
シゲにも似てるってこないだ言っちゃったな。だから好きになったって思われてるんだろうけど。
そういう意味じゃない。好きになるのは全然別のタイプだったりするものでしょ。