世界は愛で満ちている
stage:1 病室
ピッ、ピッ、ピッ、と無機質な音に目が覚めた。
天井の白さや、視界のぼやけ方からいって、きっとここは病院だろうな、なんて医療ドラマで見た記憶を掘り起こしてぼんやりと推測した。
ただ、医療ドラマとは打って変わって、わたしの視界には家族の顔は無かった。
やっぱりな、という妙に腑に落ちたような感情と、失望と、あと、憐れみ。そんな感情から思わず微笑んだ。
「あ、起きましたか…?」
看護師、だろうか。ナースキャップにピンクと紫のアメピンをクロスさせてつけている。
彼女は不気味に微笑んだわたしをただ見ていた。
「…病院ですよね」
「まあ…そうですね」
「…まあ?」
「ここは隔離病棟です」
「…隔離病棟?」
わたしはいつの間にそんな感染力の強い病気にかかってしまったのか。
「どういう、ことですか?」
「…隔離病棟と一概に言ってもここは、研究用の隔離病棟です」
「けん、きゅう」
「ええ」
彼女の無機質な笑いが無駄に恐ろしくて、わたしはアメピンをぼんやりと見つめていた。
「…なんの、研究ですか」
「新型ウイルス…“Medoūsa(メドゥーサ)”」
「…めどぅーさ」
「…さて、検温しますか。その間に色々こちらにもすることがあるので「待って」」
「…はい」
「…この感染症、わたしの家族はかかってるの」
「…」
「こういう時に否定しないってそれ肯定だからね」
「…あなたが事故で運ばれてきたのが6日前。その日から感染は始まりました」
天井の白さや、視界のぼやけ方からいって、きっとここは病院だろうな、なんて医療ドラマで見た記憶を掘り起こしてぼんやりと推測した。
ただ、医療ドラマとは打って変わって、わたしの視界には家族の顔は無かった。
やっぱりな、という妙に腑に落ちたような感情と、失望と、あと、憐れみ。そんな感情から思わず微笑んだ。
「あ、起きましたか…?」
看護師、だろうか。ナースキャップにピンクと紫のアメピンをクロスさせてつけている。
彼女は不気味に微笑んだわたしをただ見ていた。
「…病院ですよね」
「まあ…そうですね」
「…まあ?」
「ここは隔離病棟です」
「…隔離病棟?」
わたしはいつの間にそんな感染力の強い病気にかかってしまったのか。
「どういう、ことですか?」
「…隔離病棟と一概に言ってもここは、研究用の隔離病棟です」
「けん、きゅう」
「ええ」
彼女の無機質な笑いが無駄に恐ろしくて、わたしはアメピンをぼんやりと見つめていた。
「…なんの、研究ですか」
「新型ウイルス…“Medoūsa(メドゥーサ)”」
「…めどぅーさ」
「…さて、検温しますか。その間に色々こちらにもすることがあるので「待って」」
「…はい」
「…この感染症、わたしの家族はかかってるの」
「…」
「こういう時に否定しないってそれ肯定だからね」
「…あなたが事故で運ばれてきたのが6日前。その日から感染は始まりました」
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