サプライズ★フィナーレ
止んでいた雨が、再び降り出し窓を濡らし始めた。

……空も泣いているよう。

それとも悲しみを浄化してくれるの?

この横殴りの雨が、翔への果てなき想いと悲しみ全て、洗い流してくれたらいいのに。

そして翌朝には、透き通るような青空がこの街に広がりますように。


「はぁ……ごめんね、本当に」


「……全然。……本音聞けてよかった。……翔も後悔してるよ。真実を言わずにいれば、こんなに酷く傷付けずにすんだのにって。……どうしても欲しかった。どうしてもエ……愛梨じゃなきゃダメで、愛梨以外愛せなくて。でも気付いたんだ、俺じゃ愛梨を幸せに出来ないって。必ず幸せにするって約束したのに、結局傷付けただけ。そんな自分に嫌気がさした。……だから俺に託したんだよ」


激しい雨が、窓ガラスを叩く音をバックミュージックに、私は、なぜか翔が語っているように感じられた。

口調は、翔輝君のものだけど、なぜか微妙に違和感を感じていた。


「……エリ……!? ……って、呼んでいい?」


そして何より、この言葉に……。

翔だけの呼び方……
つい無意識に出てしまったように感じられた。

そして呼んだ一秒後に、ハッとして即目をそらしたのだった。



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