サプライズ★フィナーレ
「凌がさ、また新商品もお前に頼みたいってさ。超気に入られたな。凌の親父、日本一の金持ちって噂だし超玉の輿確定。凌もお前好みの爽やか好青年。超イイ奴だしな……」


……だから?

翔が、こんなこと言うの初めて。

翔輝君以外の人勧めるなんて、有り得ないと思ってた。

私の為を想って言ってるの?

それとも本気で心の色は、変わってしまったの?

もうほんの一粒の可能性もないの?

……なんて、またズルい私。

いつまでも義理であることに拘って、世間の目ばかり気にして、傷付くことから逃げ出したのに。

翔は、いつだって嘘偽りなく、真っ直ぐに私を求めてくれたのに。

……苦しい。

心と頭が、アンバランスすぎて苦しい。

忘れたいのに忘れられない。

忘れたいのに忘れたくない。


「……翔が、また撮ってくれるなら。衣装も翔なら引き受ける」


「……別に俺でなく」


「翔だけなの、カメラの前で自然体でいられるのは。……私ね、翔の奏でるシャッター音が好きなの。学生の時……あの無機質な音が、ずっと苦手だった。あの音で私の心も体もどんどん萎縮していく……そんな感じがしていた。でも翔が、初めて私を撮ってくれた時、あの音がなぜか凄く心地よく感じられたの。自然と笑顔になれたの。凄く幸せな気持ちで、私が私でいられたの」
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