サプライズ★フィナーレ
エントランスに入ると、すぐに広々としたリビングルームが視界に入ってきた。

重厚感溢れるヨーロッパ家具と調度品が、落ち着いた雰囲気を作り出している。

正面の大きな窓からは光が溢れ、ヨーロッパのような美しい街並みと、色とりどりのローズガーデンが望める。

あ、先程まで撮影していたガーデン……
上から眺める景色も、最高に綺麗。

でも緊張感から、見惚れる余裕もない。

だってずっと背中に視線を、感じているから。

私は、子供のように探検するフリをして、視線から逃れる為に別のドアを開けると、そこは白を基調とした清潔感溢れる洗面所。

隣の天井の高いバスルームには、白い大理石の大きな円形のバスタブとゆとりある洗い場、ガラス張りのシャワールームがあり、快適なバスタイムを過ごせそう。

……今夜、私は本当にこの部屋で過ごすことになるの?

私の疑惑通りならば、今夜ここで……。

やだ……緊張でどうにかなりそう……もうやめよ。

今は、考えても仕方ない。

私が、もう一度リビングに戻ると、彼はリビングのドアの辺りに立ち尽くしたまま、無言で私を見つめてきた。


「……さすがスイートルーム。……上もあるんだ」


私は、イマイチ彼の胸の内が読み取れず、また視線から逃れる為、リビング左に位置する螺旋階段を上がって行くと、中央部分にキングサイズベッドの置かれた寝室があり、インテリアは、有名なイギリス人デザイナーの物と一目でわかる花柄で統一されていた。

……つい一台しかないベッドをマジマジ見つめると、すぐ後ろに人の気配。

振り返ると、やっぱり彼の姿があり、ビクッとして思わず距離を取ってしまう。
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