龍瞳ーその瞳に映るもの
星の道
少しの緊張を持ってトムの木に向かう。

アズには美緒ちゃんに頼まれごとをしたから
行けないと嘘をついた。

全てを見透かされているようで
心臓がピリリと痛んだ。

「また、夕方ね」

『あぁ』

いつも通りの短い会話も
嘘がバレたんじゃないかと思ってしまう。

アズに嘘までついたんだから
イクヤとの接触で何らかの成果を
あげないと意味がない。

カランコロンと小気味いい音を立て
トムの木に入ればコーヒーとトーストの
いい匂いがした。

店の中は以外と広く、
お昼時とあってお客さんもかなりいる。
選んだ時間がよかったのか悪かったのか
一瞬悩んだけど、サクヤさんは何も言わなかったからよかったんだと納得した。

賑わう店内の
一番奥の席にイクヤは座っていた。
隣の席と隔離された唯一のテーブルに
座っているという事はきっと
早くから来て待っていたんだと思う。

その証拠にコーヒカップは空だった。
< 228 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop