龍瞳ーその瞳に映るもの
星の光
「全然、見えねーな」

あれから毎日ビルの近くでナノハを張ってる。
だけどビルの周りはだだっ広い
道路しかなくて車を止めておける死角がない。

「なんなのあのビル。要塞じゃん」

何度も前を通り過ぎるしかできないけど
ナノハは一人じゃない事はわかった。
ビルから車が出てきた。

「やっぱり一人じゃなかった」

あれは絶対男と一緒だ。
女が乗るような車じゃない。

捨てられた男の元に押しかけたに違いない。
どんだけ厚かましい恥ずかしげのない女なの。

奇妙なビルに住んでいかつい車に乗る男。
一体、どんな男なのか絶対暴いてやる。

あ、いいこと思いついた。
その男に有る事無い事吹き込んでやる。
イクヤが邪魔だけどできるなら美緒のものにしてやればナノハはどうするだろ。

「どうした?何がおかしいんだ?」

笑いが漏れてしまうのは許して。
だってこんな楽しい事はないんだもん。

どん底に落ちるナノハを想像したら
笑いも止まらないよ。

「車、追わなくていいのか?」

「今日はいいわ、車種とナンバー覚えたから」

急いで逃げられちゃ困るもの。
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