龍瞳ーその瞳に映るもの
「海、光るんだね」

海沿いの道を走りながら見える海は
キラキラ光っている。

「太陽の光が海に反射してるからな」

例えるならアズは海。
大きな大きな揺るぎない海。
朝の顔も昼の顔も夜の顔も全部違う海。
太陽の光がなければ輝けない海。

「私、太陽になれるかな」

「あぁ、もうなってる」

運転しながら器用にキスをする。
キュンとなる胸が痛みを消していく。

人には言えない世界でも
懸命に生きている人間がいる。
できるなら誰も傷つけたくないと
精一杯努力をする。
龍瞳のみんなはそうやって生きている。

いつまでも引きずってちゃいけない。
潮風に当たりたくて窓を開ければ
そこはもう夏の匂いがした。


< 305 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop