先生のことなんて好きにならない!




「…先生?どこ行くんですか?」



七瀬の後を追いかけようと動いた瞬間、実習生に腕を掴まれた。



「先生、もしかしてあの子のこと追いかけようとしてます?」


「…そうだと言ったら」


「それでどうするんです。追いかけて、優しくして。あの子勘違いしますよ」



…ずっと前から薄々感じていたこの気味の悪さ。



「勘違いって何だ」


「え?だから…先生のこと好きになったり、どうにかなれると思ったり…」


「それを気にして体調の悪そうな生徒を放っておけと」


「そっ、そういう意味じゃ…」


「君こそ勘違いしないほうが良い。あいつのことどう思ってるのか知らないが、あくまで歳下のしかも生徒に緊張感与えるようなことをするな」


「そんなこと…」



気付いていないと思っていたのか。

未だに掴まれたままの腕とすぐに追いかけたいのに止められる焦りから、ついきつい言葉が出てしまった。



「勘違いだったらごめん。俺、好きな人いるから」



俺もまだまだ子どもだ。後先考えないでそんなこと口走って。実習生に諭すような力もない。資格もない。



「俺みたいなやつが担当で本当ごめん」



掴まれた腕をそっと降ろし、俯いた実習生の頭をぽんと触って、教室を出た。
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