イジワル御曹司のギャップに参ってます!
「三年前、眼鏡をかけるように勧めたのは私なんです。氷川さんが、自分を見失っているときでした」
「自分を見失う……?」
「氷川さんの上司であった村正さんが、ミスを押し付けられ会社を辞めさせられた直後の話です」
ふっと青山さんが、昔を懐かしむように微笑む。
「村正さんが居た当時、私はまだ入社していなかったので直接見たわけではないのですが。
話によると、氷川さんは村正さんに心酔していて、村正さんの無謀とも言える強引な仕事の手法を真似していたそうです」
氷川が『無謀』? 『強引』?
私が氷川と敵対することになった当初の『堅実』、『保守的』な仕事ぶりからは想像もつかない。
青山さんは続ける。
「村正さんの無茶が許されたのは、彼が実績を上げて誰よりも売り上げに貢献していたからです。
それでも、出る杭は打たれます。彼に反対する派閥も存在していました。
それが、穏健派と呼ばれる人たちです。穏健派から目を付けられていた村正さんは、彼らの策略によりあっさりと潰されてしまいました。
村正さんを追い出し、勢いをつけた穏健派は、上層部の大半にまで勢力を拡大しました。
村正さんの遺志を継ぐ氷川さんにとっては、非常に厳しい状況でした。
正しいと思うことをすれば潰される。この会社で生き残っていくためには、自分を曲げるしかない。けれど自分を曲げたくなんかない。
そんな葛藤の最中に、私は氷川さんと出会いました。
だから私は言ったんです。
『眼鏡』をかけてしまえばいい、と。
『眼鏡』をかけている間は、会社に求めらているままの、真面目な人材、氷川。
『眼鏡』を外している間は、ありのままの自分、流星。
二つを分けてバランスを取るように繰り返し刷り込んで、あなたの知る『氷川流星』が出来上がったんです。
お陰で、氷川さんは穏健派から秘蔵っ子として大切に育てられてきました。
例えば、平山課長は穏健派の下っ端です」
つまり平山課長属する『穏健派』が、流星の憧れの人を罠に突き落としたというわけか。
そんな人の元で忠実な振りをして働いていただなんて。氷川流星は、一体どんな気持ちでその状況を受け入れていたのだろう。
「自分を見失う……?」
「氷川さんの上司であった村正さんが、ミスを押し付けられ会社を辞めさせられた直後の話です」
ふっと青山さんが、昔を懐かしむように微笑む。
「村正さんが居た当時、私はまだ入社していなかったので直接見たわけではないのですが。
話によると、氷川さんは村正さんに心酔していて、村正さんの無謀とも言える強引な仕事の手法を真似していたそうです」
氷川が『無謀』? 『強引』?
私が氷川と敵対することになった当初の『堅実』、『保守的』な仕事ぶりからは想像もつかない。
青山さんは続ける。
「村正さんの無茶が許されたのは、彼が実績を上げて誰よりも売り上げに貢献していたからです。
それでも、出る杭は打たれます。彼に反対する派閥も存在していました。
それが、穏健派と呼ばれる人たちです。穏健派から目を付けられていた村正さんは、彼らの策略によりあっさりと潰されてしまいました。
村正さんを追い出し、勢いをつけた穏健派は、上層部の大半にまで勢力を拡大しました。
村正さんの遺志を継ぐ氷川さんにとっては、非常に厳しい状況でした。
正しいと思うことをすれば潰される。この会社で生き残っていくためには、自分を曲げるしかない。けれど自分を曲げたくなんかない。
そんな葛藤の最中に、私は氷川さんと出会いました。
だから私は言ったんです。
『眼鏡』をかけてしまえばいい、と。
『眼鏡』をかけている間は、会社に求めらているままの、真面目な人材、氷川。
『眼鏡』を外している間は、ありのままの自分、流星。
二つを分けてバランスを取るように繰り返し刷り込んで、あなたの知る『氷川流星』が出来上がったんです。
お陰で、氷川さんは穏健派から秘蔵っ子として大切に育てられてきました。
例えば、平山課長は穏健派の下っ端です」
つまり平山課長属する『穏健派』が、流星の憧れの人を罠に突き落としたというわけか。
そんな人の元で忠実な振りをして働いていただなんて。氷川流星は、一体どんな気持ちでその状況を受け入れていたのだろう。