イジワル御曹司のギャップに参ってます!
「……私がそんな女だと思う?」

「あなたはときどき、俺の気持ちを弄ぶから」

「しないよ、そんなこと」

私が流星を見つめると、彼は切ない瞳で私の視線を返した。不意にそんな顔をされては調子が狂う。

「じゃあ、誓って。
一度でいいから、俺のこと愛してるって言って。安心させて。
明日になったら、無かったことにしてくれてかまわないから。
今だけは、あなたからその言葉を聞きたい」

流星が私の胸元に顔を埋めて、消え入りそうな声を出す。
ときたま、流星はこんな風に自信のない振りをする。
どうしようもなく寂しそうに、憐れな自分を嘲笑うかのように。
その度に私の方が不安になってしまうのだ。こんな流星、流星らしくない。

「明日になったって、明後日になったって、消えたりなんかしないよ」

私は緊張に震えながら、流星の頬にそっと手を伸ばす。
ちょっと情けない顔になった彼が、何かを求めるかのように私を見つめる。求められるがまま、意を決して口を開く。

「流星のこと、愛してる」

流星の瞳が少しだけ大きく見開いた。
どうして驚いているのだろう。
私の彼への気持ちは、こんなにも分かりやすくはっきりとしているのに、まだ伝わっていないのか。

「私の方こそ、浮気なんかしたら、許さないんだから。
ずっと、私のことだけを見てて」

なんだか少し泣きそうになってしまって、涙を貯めた瞳で言ったら、何故だか彼は安心したような表情になった。

「……俺がそんな男だと思う?」

「私の気持ち、しょっちゅう弄ぶくせに」

「それはあなたが可愛いからだ」

流星が私の頭をそっと胸に抱き寄せる。

確かに、このまま、彼の腕の中にいられたら。ずっと温もりに包まれていられたら。
仕事をサボりたくなってしまう気持ちも、よく分かると思った。
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