イジワル御曹司のギャップに参ってます!
青山さんが解説を続ける。

「女性はどんな年齢になっても可愛らしいものに憧れるということなのでしょう。
もし、これを朱石さんが居心地悪いと感じてらっしゃるなら、とんでもない天邪鬼か、楽しもうという気合が足りないかどちらかです」

淡々とした口調だが、内容はあからさまに私に対する非難が入っていて、思わず私はうっと唸る。

「クライアントの相模様は、この場所を心の底から楽しんだ上での感想を私たちにリクエストしています。
私たちが楽しまずして、相模様の気持ちを理解できるでしょうか。
否!
プライドを捨てて心行くまで楽しもうと努力してください、朱石さん! 生半可な気持ちでは、何も得ることができません」

突然熱弁を振るい始める青山さん。あれ? 彼女ってこんなキャラだったっけ?

「そ、それを言う青山さん自身はこの場所に馴染めているの?」

「私はそれなりに楽しんでいます!」

先ほどから絡ませていた氷川の腕をキュッと抱きしめながら、青山さんが力強く答える。

うん、その二人の体勢にも、突っ込みどころが満載だよね。

当の氷川は、可愛い女の子に腕を回されているにも関わらず、複雑な表情を浮かべていた。
はっきりと拒否こそしないものの、どことなく嫌がっている。

「……いや。だから。いちいち私にしがみ付かなくても――」

「郷に入っては郷に従え、虎穴に入らずんば虎子を得ず、氷川さん、今日は恋人同士という設定でよろしくお願いします」

「……そこまでの本気は求めていないんだが……」

やる気満々の青山さんに、氷川は額に手を当てて沈痛な面持ちでため息をついたあと、どうやらいろいろと諦めたようだった。
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