イジワル御曹司のギャップに参ってます!
中は、区画ごとにテーマが設けられていて、入場ゲートに一番近い『ラブ&キュート』の区画ではこれでもかというほどピンクのハートが敷き詰められていた。
幾重にも連なるハートのアーチの下にお土産屋さんや飲食店が軒を連ねていて、その外観はどれも淡いピンクやオフホワイトで統一されている。
歩道にもハートのタイルが埋め込まれ、植え込みの植物でさえもハート型にカットされている。もちろん、キャストの衣装もハートハートハート……
果てはお土産屋さんの木製の扉の彫り込み細工や、蝶番(ちょうつがい)でさえ、ハートがあしらわれて、徹底したこだわりようがうかがえる。
が、そのどれもがあまりに可愛らしすぎて――

「これって、大人向けの施設よね……? 年齢層的には二十代、三十代?」

「そうっすよ。朱石先輩なんか、ドンピシャです」

「それにしては、ちょっと……子どもっぽすぎない」

二十代後半でピンクのハートとは。居場所のなさを感じて肩を小さくしていると、同じ感想を抱いていた氷川が「確かに」と頷いた。

「入場ゲートでも感じましたが、ここまで人を選ぶ奇抜な装飾を入口付近に施すとは。これでは、見た瞬間に引き返す客もいるのでは」

「この斬新な配置が、昨年度のリニューアルで功を制したようです。
入場ゲートをくぐった瞬間、ファンタジーの世界にトリップしたかのような感覚を味わえると、好評なようですよ。特に女性からは。」

青山さんが答え、私たちはなるほど、と興味深げに周囲を見回す。
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