『ココロ彩る恋』を貴方と……
お腹が空いて泣くこともできなかった私を隣に住んでいるおばさんが見つけてくれた。

それがなかったら今頃はきっと、餓死か寒さで死んでいたに違いない。


醜い思い出の蓋が開いたことに気づいて蓋を閉じる。

折角のハッピーな気分が台無しになる様なことを振り返るのは止めよう。


「今日は早く寝よう。明日も料理を頑張って、お替わりして貰える物を作るんだから」


誰にでも思い出したくないと過去の一つや二つはある。

私だけでなく、兵藤さんにだってきっとある。


「ハートがシェアできたらいいのに。そしたら、こんな暗い気持ちも半分にし合えるのに」


家族を亡くした人でないと理解できない深い悲しみがある。

真っ黒い雲に覆われていた過去も、真っ黒い絵で表現される兵藤さんの気持ちも、出処はきっと同じような悲しみと怒りからくるのかもしれない。


彼の心に寄り添ってあげたい。

ジワッと溶けていく陽だまりのような存在に……なってみたい。


< 104 / 260 >

この作品をシェア

pagetop