『ココロ彩る恋』を貴方と……
彩の父親は目については遺伝みたいなものがある…と言っていた。

病状については詳しく教えてもらわなかったが、そのうちにどんどん重くなっていった。



『……この頃、左の上辺りが暗いの』


メガネを外したり付けたりしている彩に、『何をしてるんだ?』と聞いたら、そういう答えが戻ってきた。


『メガネを外しても暗く見えるし、何だか色も霞んでる。ねぇ、私の左目の色、変じゃない?』


見てくれるよう頼まれた。


彩の右目の眼球が真っ白で濁っている。左目の方も外側から白っぽくなっているように見え、それを彼女に教えてもいいのかどうか迷った。


『…別に変化ないようだけど…』


こっそり両親に教えようと思った。

彩は『そぅお?』と聞き返し、『なら良かった』と笑顔を見せた。



それを見て、ズキッと罪悪感が走った。

本当は悪いと、はっきり教えてやれば良かったのかもしれない。


中学生活が終わり、高校に入った辺りから視力はどんどん低下し始めた。視野の狭まりが原因で、通学も難しくなってきた。


支援学校への転校を勧められ、泣く泣くそっちへと変わった。見え難くなる一方の目を抱え、悩みも多かった筈なのに……



『学校の友達にね。アキラ君はイケ面なおにいさんねと言われたの。彩ちゃんはラッキーだって!』


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