『ココロ彩る恋』を貴方と……
見つけた時に振り返る笑顔が見たくて、フラフラしながら探し歩いた。


『…私の目には貴方しか映りません!だって、兵藤さんのことが好きですからっ!」


弾みのように言われて息を呑んだ。

彼女の真っ直ぐな気持ちを受け止めることができず、躊躇ってしまった……。



「……満仲さん」


君にもう一度会えたら、俺はどんな言葉を掛けたらいい。

寂しい幼少期を送っていたなんて、何も知らずにいたよ。

君はいつでも明るくて、闇の中を照らす灯台の明かりみたいな存在だった。


(一瞬だけど、確かに眩かった……)


なのに、やめる理由も言わずに逃げてしまうなんて。

さよならも言わず、この場所を去ってしまうなんて。


「あんまり酷いだろう……」


寂寥感にも似た思いが募っていく。

フワフワな髪の毛をした君に、できればもう一度だけ会いたい……。


「絵を観に来てくれよ」


来れたら…なんて言い方をせず、是非来て欲しいと言えば良かった。

闇の中で見えたものを作品に閉じ込めた。

それを彼女に見て欲しかったのに……。


「…もう遅いのか?」


そうは思いたくない。

彼女は観に来てくれる筈だと、心の底で信じておきたい。


「だって、俺のことが好きなんだろう。だったら一目だけでも観に来てくれよ……」


感じ取って欲しい。

俺の考えている全てのことをーーー。



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