『ココロ彩る恋』を貴方と……
「綺麗ですか?」
兵藤さんが左側に並んで立った。
「綺麗ですよ」
うっとりとして答える。
「…うーーん、そうか…」
何だか気に入ってない感じ?
「兵藤さんには綺麗に見えないんですか?」
不思議な気がして聞いた。
「まぁ…何ていうか、これは失敗作だから……」
「失敗作?これが?」
「うん……色が濁ってる」
「えっ…」
何処が〜〜?
「俺としては気に入ってないんだけど、満仲さんには気に入られたんだ」
「わ、私は兵藤さんの版画を生で見るのは初めてですから」
この最近、版画家だって知ったくらいだし、作品も新聞の記事に載っている物しか見たことがない。
元より芸術作品なんてものに興味はない人間だし、この紙に描かれてある色彩が兵藤さんの描いた物でなければ見たりもしなかったと思う。
「すみません。何も知らないのに」
何だか恥ずかしくなってきた。
初めて目にする色合いに見惚れていましたとも言い難い。
「紙のまとめ、続けますから」
側にいるのが居た堪れなくなって逃げようとした。
その途端、台の端から飛び出していた板切れにぶつかってしまいーー
「あっ…!」
見事に体が前のめりになって傾いた。
「危な…!」
後ろから伸びてきた腕が支えてくれたのはいいんだけれど………
兵藤さんが左側に並んで立った。
「綺麗ですよ」
うっとりとして答える。
「…うーーん、そうか…」
何だか気に入ってない感じ?
「兵藤さんには綺麗に見えないんですか?」
不思議な気がして聞いた。
「まぁ…何ていうか、これは失敗作だから……」
「失敗作?これが?」
「うん……色が濁ってる」
「えっ…」
何処が〜〜?
「俺としては気に入ってないんだけど、満仲さんには気に入られたんだ」
「わ、私は兵藤さんの版画を生で見るのは初めてですから」
この最近、版画家だって知ったくらいだし、作品も新聞の記事に載っている物しか見たことがない。
元より芸術作品なんてものに興味はない人間だし、この紙に描かれてある色彩が兵藤さんの描いた物でなければ見たりもしなかったと思う。
「すみません。何も知らないのに」
何だか恥ずかしくなってきた。
初めて目にする色合いに見惚れていましたとも言い難い。
「紙のまとめ、続けますから」
側にいるのが居た堪れなくなって逃げようとした。
その途端、台の端から飛び出していた板切れにぶつかってしまいーー
「あっ…!」
見事に体が前のめりになって傾いた。
「危な…!」
後ろから伸びてきた腕が支えてくれたのはいいんだけれど………