『ココロ彩る恋』を貴方と……
聞いたことのあるメロディが炊飯器から流れてきて、ピラフが炊き上がったことが知らされた。

程よいトマト色に炊き上がったご飯を混ぜ、盛り付けていくのは赤ではなく白い器。


「これでお皿までが赤だったら気色悪いよね〜〜」


単色志向も極まるところだろうけど、兵藤さんは器に関しては頓着しない。


「赤い物にはグリーンとかブルーとかも合うよね」


外国の国旗カラーみたいに見える食事をトレイに乗せて持って行く。

隣にある食事室のドアをノックして開けると、待っていた兵藤さんと目が合い、ドキンと胸を弾ませながら中へと入った。


「すみません、お待たせしました」


不器用なりに頑張って早く作った食事をテーブルの上に乗せる。

海老ピラフと人参のサラダ、トマトスープの3品。


「どうぞ」


上目遣いになりながら顔を見ると、目は私でなく料理を見ている。


「いただきます」


その声がいつも通りだったから安心した。
この間のことがあったから、今日も何か言われるんじゃないかと焦った。

スープを口に含んでからピラフに進んだ彼を見る。

4時間くらい前に食べたイカスミパスタは消化が早かったらしく、珍しく早い夕食になっていた。


「……この海老の混ぜご飯美味い」


混ぜご飯と言われたのは、海老ピラフのことだ。


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