『ココロ彩る恋』を貴方と……
私が育った家庭の食卓はカラフルだった。

料理する家族の意向で、常に五色の物が並ぶよう準備されていたから。



『紫音』


嗄れた声で名前を呼ぶのが家族。

その声の主を振り向き、『はい』と返事をしたのは5歳の頃が初だ。

それ以来、私はその人の家でお世話になった。18歳の誕生日を終え、高校を卒業する時までーー。



(他にも家族はいるんだけど……)


いても孤独だった。
たった一人で食卓を囲むなんて、幼い頃から何度も経験してきた。


赤い食材ばかりを見ながら作っていくおかず。

兵藤さんも、もしかしたら私と同じ様な生活歴の持ち主なんだろうか。


「私よりかはきっとマシだよね」


いつだったか、友達が貸してくれた漫画に自分と同じ様な境遇の子の話があった。

それを見てると胸が痛んで、主人公の気持ちが痛いくらいにわかり過ぎて泣いた。


『紫音はいい子だよ』


嗄れた声の主は、いつもそう言ってくれた。
私が寂しそうに肩を落としている時や、何だか浮かない表情を見せる時は常に。

 

(うん…。私は悪くない……)


それを思い出す時、いつも心の中で自分のことを励ます。

存在を確かにしてくれる人がいた。だからこそ、こうして生きていられる。


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