すきなのに!!
あーあ朋稀くん不貞腐れてますけど。膝を抱えてテーブルの上のお菓子をちびちび食べてますけど。


そんな朋稀を見て理陽は大きくため息をついた。やはりこの男は失礼である。



理陽は仕切り直すように手をパンパン叩いて再び王子様スマイルを見せた。




「さ、話してください」




あたしと万里くんはお互いに顔を見合わせた。

ていうか万里くん私服なんだね。


まあ、キミは不登校だから学校に来る気なんてさらさらなかったんだろうけど、昨日の一件の被害者その1な訳だから来ないわけにはいかなかったんだろう。



そして今あたしはこのイケメンたちの美貌を利用して授業をおサボりしているのです。顔がいいとなんでも許されるのか、くっそー。




あたしはたまたま路地裏を通ったら殴られそうな万里くんを見つけていてもたってもいられなくなって飛び出したこと、そこから逃げたけど捕まってしまったことをざっくり話した。(都合の悪いことは省略)



…それにしても、あたしが話を進めてくと理陽のこめかみがピクピクしてて怖いんですが。





「…って感じ、で…す」





話し終えた途端万里くん以外の全員がため息をつく。ちょ、昌くんもか!



あたしはこのよくわからない空気に耐えられずにテーブルの上のクッキーに手を伸ばした。その手は理陽にピシャリと払われたのだが。




「栞って馬鹿だよね」


「ん?」





ば、馬鹿だと?た、確かにそうだけど、そんな満面の笑みで言われたのは理陽が初めてかもなぁ…とか言ってる場合じゃなくって。


理陽は怒ってらっしゃる。




「喧嘩に飛び込んでく女の子なんていないよ?ただでさえ南栄のヤツらは喧嘩と女が大好きなのにさ。ねえ、聞いてる?」


「きっ、ききき聞いてますとも!!」




思わず万里くんのシャツの袖を掴んだらそれも払われてしまった。なんだよみんなして!そんなにあたしが嫌か!!


唇を尖らせて拗ねるあたしを見て颯くんがへらへら笑った。



「みんな心配してたんだよ」




心配…。


昨日の麗ちゃんとの会話が蘇る。

< 109 / 165 >

この作品をシェア

pagetop