すきなのに!!
にこりと微笑むと茉央ちゃんはあたしの頭をわしゃわしゃ撫でた。



「栞かー。可愛い名前ね」


「あ、ありがと」



な、なんかこんな美人に見つめられたら照れるじゃないか。


照れをごまかすように横を向くと、あたしの隣の席には誰もいなくて、首を傾げた。



「ねえ、茉央ちゃん。あたしの隣の席の子って来てないの?」


茉央ちゃんは隣の席を見て「あー」と声を漏らす。



「不登校、的な感じらしいよ。あたし理陽くんたちと中学同じだったんだけどね、その子理陽くんたちと一緒によくいたんだよ」



茉央ちゃんは毛先をくるくるいじりながら言葉を続ける。



「その子、めっちゃ可愛いんだよ。こう、女の子みたいで」



「女の子みたいな男の子、ねー」




やっぱ理陽たちと一緒の中学の子多いんだね!さっき教室来るときも輝と颯くんも朋稀も同じ中学だったって言ってたしね。

このクラスもほとんどがそうなんじゃない?

他中から来たのなんて、あたしと凛とその他数人。アウェイ感満載だな。


あたしがぼーっと窓の外を眺めていると、きゃっきゃっと女子の話し声が聞こえた。



「ね、やっぱ神崎 輝くんと桜田 颯くん、かっこいいよね!このクラスでよかった!」

「だよね。理陽くんと朋稀くんは特進だから遠い人って感じだけど、あの2人は親しみやすいっていうかさ!」



え?親しみやすいだと?
あ、あたしの聴力は今日一日で低下したのかしら。
< 46 / 165 >

この作品をシェア

pagetop