すきなのに!!
あたしは眉を寄せて女の子たちの会話に耳を済ませた。



「輝くんはいつも怒っててなんか怖いけど、怒りながら甘いもの食べてるから怖さ半減的な?」

「颯くんはいつも笑顔で優しいしねー。あー颯くんの遊び相手でもいいから付き合ってみたい!」




最近のJKさんたちは恐ろしいわね。
颯くんに近づいたら妊娠するぞ。


すると女の子は、ハッとして手を叩いた。



「万里(ばんり)くん、まだ学校来ないのかな?」

「あー!同じクラスだっけ?万里くんを見るのが私の癒しだったのに」

「ちょー可愛いよね!万里くん」



…ばんりくん?

あ、さっき茉央ちゃんが言ってたあたしの隣の席の子か!



万里くん…か。

どんな子だろ。



「ね、茉央ちゃん。万里くんてなんで学校来ないのかな?」



茉央ちゃんは少し考える素振りを見せてから、「うーん…」と言って口を開いた。



「いろんな説があるんだけどね、人間不信、女嫌い、不治の病…とか?」

「…そんなの現実にあんの?」

「さあ?どれも噂だからね」




なんだかワケありっぽいね。

隣がいないと喋る相手がいないから、つまんないんだよね…。



あたしは窓の外を眺めてため息をついた。


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