すきなのに!!
帰るの遅くなっちゃいそうだな。


お父さんは海外に単身赴任中。


2人のお兄ちゃんはバイトだからまぁ、いいとして。



面倒なのは‘‘あの人”だけだな。

心配、してるだろうな。きっと。



帰ってからがめんどくさそうだから心の中で小さくため息をついた。




「俺、今までは運命とかは全く信じとらんかった」




うぉわっ!いつの間にか透があたしの目の前で跪いてるんだけど!!なんだコイツ!



隣でびっくりしている万里くんを横目に、透があたしの手を取ったから慌てて振り払おうとしたけど、それに先に勘付かれてぎゅっと手を握られてしまった。



い、いいい今ぎゅ…ぎゅって…?!!

手を握られたとき聞き間違いかもしれないけど一瞬だけ後ろで恭ちゃんが「…は?」って呟いたのが聞こえたような気がする。


けど、今はそんなこと気にしてる場合じゃない。


透はテンパるあたしはお構いなしに話を続ける。




「せやけどアンタに殴られた瞬間、俺の中でこう…なんて言うたらええのかようわからんけど…ビビッと電流が…」




電流?あたしに電気が流れてるってこと?

しどろもどろに言う透を見て、あたしたちを囲むように立っていた不良が口元を押さえて笑いを堪えている。トップも笑ってるんですけど。


哲ちゃんと亜弓は不思議そうに首を傾げ、お互いに顔を見合わせた瞬間、ハッとして顔色が変わった。「まさか…」って口が動いたけど、どういうこと?!



やっぱ殴られるのかな?!それは嫌だよ!




「な、殴らないで…」


「…ん?何言うてんの?」


「え?今から殴るんじゃないの?」


「は?なんでやねん」







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