タタリアン
 採掘現場で恭介と太志が今後の
対策を練っていると、ひとりの女
性が近づいて来た。その女性は科
学技術庁の外郭団体、新素材利用
研究所の研究員、広崎英子(28
歳)だった。
「よくやってくれたわね。後は私
達が引き継ぐから、あなた達は退
去していいわ」
 英子は連れてきた部下の研究員
達に指示を送り、作業の準備を始
めた。
 突然現れて高飛車な英子に恭介
が、
「何だよあんた。誰も手伝いなん
か呼んでないぜ」
 英子は少し鼻で笑い、
「手伝いに来たんじゃないわ。こ
の山を掘削する許可は国から出て
るのよ。私達は国から委託されて
やって来たの。あなたこそ引っ込
んでなさい」
 太志が恭介と英子の間に割って
入り、落ち着いた口調で、
「分かりました。僕達は手を引き
ます。だけどこの場所の情報は世
界に流れています。今さら隠して
もムダだし、情報公開はお願いし
ます」
 恭介は納得ができず、
「太志」
「恭チャン、いいからいいから」
 太志は恭介をなだめて立ち去っ
た。
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