もう1度、あの恋を
スタートライン
「ん、奏太、帰ろ」
「おー」
無事、午後の授業も終えて、私は支度をすると奏太の席の前に行った。
「朱里、芹沢さんバイバイ」
カバンを持って、帰ろうとしてる2人に手を振ると、朱里は口をぷくっと膨らませて睨んでくる。
「……なに? まだ根に持ってんの?」
「だってぇ! 先に約束してたのは、朱里でしょ? なのに、なのにぃ…!!」
……そりゃ、そうだけど…。
「 朱里ちゃん、今回は許してあげようよ…ね?」
芹沢さんは、苦笑いで朱里を説得する。
「これからどんどん、奏太くんに美月を取られていくんだ……。」
「朱里、今度帰るから、ね?」
私がそう言うと、朱里は、しぶしぶOKして、ノロノロと芹沢さんと帰っていった。