もう1度、あの恋を




泣き止んで、家に帰った私たち。
お父さんは何も触れずに、「お風呂に行ってきなさい」とだけ言った。



私は、その言葉に頷き、今はお風呂に入っている。湯船に浸かりながら、さっきのことを思い出す。




「……はぁ、なんで泣いちゃったかなぁ…」


奏太の冷たい目を見たあとに、お父さんの心配した顔を見てしまったら、突然涙が出てきてしまった。




ねえ、奏太は、どうして何度も何度も……



その目で私のことを見るの……?







「ご飯、出来てるぞー」


風呂場のドアの前でお父さんの声が聞こえた。



「はーい」


私は、返事してから湯船から出た。







< 44 / 202 >

この作品をシェア

pagetop