もう1度、あの恋を
泣き止んで、家に帰った私たち。
お父さんは何も触れずに、「お風呂に行ってきなさい」とだけ言った。
私は、その言葉に頷き、今はお風呂に入っている。湯船に浸かりながら、さっきのことを思い出す。
「……はぁ、なんで泣いちゃったかなぁ…」
奏太の冷たい目を見たあとに、お父さんの心配した顔を見てしまったら、突然涙が出てきてしまった。
ねえ、奏太は、どうして何度も何度も……
その目で私のことを見るの……?
「ご飯、出来てるぞー」
風呂場のドアの前でお父さんの声が聞こえた。
「はーい」
私は、返事してから湯船から出た。