もう1度、あの恋を
「遊園地行くだけだよ」
私は呆れながらもそう言う。
「えー? 朱里とー?」
絢乃ちゃんの口から、朱里って名前が出てくるとは思わず、私は「えっ」と言ってしまった。
「ん?朱里なの?」
「え……?あ、いや、違うけど」
慌ててそう言うと、絢乃ちゃんは肩をガクッと落とした。
「あー、男ね。美月もやるじゃないっ」
あーあ、
なんでみんな同じこと言うんだろう
「絢乃ちゃんも、彼と頑張ってね。」
「お節介ありがとう~、で、相手は?」
言ってもわからないだろうに。
「澤田っていう子!
じゃ、待ち合わせの時間だから!」
私はそれだけ言うと駅まで走って行った。
後ろを見るとまだ絢乃ちゃんが手を振っていた。ふふっと笑うと走るスピードを少しだけ速めた。