もう1度、あの恋を
「で、でも……」
芹沢さんは、申し訳なさそうにしてる。
「ほんとに大丈夫だってば〜。
ね、ほら、また明日ね、芹沢さん」
朱里は、そう言うと、手をひらひらさせている。そして、芹沢さんは、嬉しそうに手を振り返した。
「美月ちゃんも、また明日…っ、」
「うん、またね〜」
帰る芹沢さんを見送ってから、私は立ち上がってカバンを持った。
「いいよ、帰ろ」
そう言うと朱里は、だるそうに立ち上がり、また、隣をガン見した。
「あーっ、もう疲れた〜
美月、遅い〜」
文句を言いながらも私のあとをついてくる。
目の前には、隣の席の相沢 奏太(アイザワ カナタ)。
私はその後ろ姿をジッと見つめる。
「なぁに、見てんの〜?」
後ろから私に話しかける朱里。
「別に、朱里早くして」
あの後ろ姿にもう何も思わない。