・いつまでも、キミを想う

「大丈夫だよ。それより、何かいい案を思いついたんじゃないのか?」

「そう、そうなの碧人。碧人のチョークを、もう一度使おう」

「はい?」


碧人のチョークを手に取り、私は碧人とオークの前にチョークを見せる。

そして、レイにも見える様にして。


「碧人のチョークを使って、10年後に行こう」


威勢よく言った私を前に、ポカンとして開いた口が塞がらない様な顔をしている三人。

そんな三人に、私は言った。

10年後を覗きに行った時。

チョークを無くした私に、10年後のレイは言ったのだ。


「予備のチョークがあったはず」と。


何故、予備を持っていないはずのレイが、予備のチョークを持っていたの?

それをレイは、私に使わせようとしてくれた。

一人一本だけ使えるはずのチョークだったのなら、あの予備のチョークは一体誰のものなの?

私に使わせようとしてくれたのなら、あれは私が使えるチョークだったという事でしょ?


「過去にも未来にも行ける碧人のチョークで、今度は一緒に10年後に行こうよ!行って、10年後のレイにもう一度会おう」


10年後のレイなら、何か知っているはず。

話してもらえるかは分からないけれど、会いに行ってみる価値はあるはずだと思った。

だって。

レイは10年もの間、私を忘れる事無く待っていてくれたのだから。
< 88 / 136 >

この作品をシェア

pagetop