・いつまでも、キミを想う
「大丈夫だよ。それより、何かいい案を思いついたんじゃないのか?」
「そう、そうなの碧人。碧人のチョークを、もう一度使おう」
「はい?」
碧人のチョークを手に取り、私は碧人とオークの前にチョークを見せる。
そして、レイにも見える様にして。
「碧人のチョークを使って、10年後に行こう」
威勢よく言った私を前に、ポカンとして開いた口が塞がらない様な顔をしている三人。
そんな三人に、私は言った。
10年後を覗きに行った時。
チョークを無くした私に、10年後のレイは言ったのだ。
「予備のチョークがあったはず」と。
何故、予備を持っていないはずのレイが、予備のチョークを持っていたの?
それをレイは、私に使わせようとしてくれた。
一人一本だけ使えるはずのチョークだったのなら、あの予備のチョークは一体誰のものなの?
私に使わせようとしてくれたのなら、あれは私が使えるチョークだったという事でしょ?
「過去にも未来にも行ける碧人のチョークで、今度は一緒に10年後に行こうよ!行って、10年後のレイにもう一度会おう」
10年後のレイなら、何か知っているはず。
話してもらえるかは分からないけれど、会いに行ってみる価値はあるはずだと思った。
だって。
レイは10年もの間、私を忘れる事無く待っていてくれたのだから。