眠りの森のシンデレラ
「スゴイですねぇ」
仮面舞踏会同様、一週間続く榊原邸のクリスマス会は、やはり盛大だ。
メイン会場であるホール中央には、吹き抜けの天井まである、生木のクリスマスツリーが煌びやかに輝いている。
その周りに、何故車? 何故バイク? 何故海外旅行の目録? プレゼントの山ができていた。
おまけにあれは……世界各国から集まった重鎮のお付きだろうか、要所要所に黒服を着たSP。
「もう、やだ」
琶子は清と金成の間で縮こまる。
仮面舞踏会と、訳が違っているからだ。
「この前も言っただろう、背筋を伸ばせ」
素顔を晒しているのに背筋なんか伸ばせません! と琶子はジト目で清を見る。
それに……気のせいじゃない、メチャメチャ注目されている、と溜息を付く。
「おい、彼女、例の写真の美女だぜ」
「何者だ、彼女?」
次々、挨拶に訪れる人々は勿論、遠巻きに見つめる人々からも様々な声が聞こえてくる。
「則武様のお隣の女性は誰?」
「やだ、腰に手を添えているわ!」
同じく、流石の桔梗も顔面蒼白だ。
「則武、どうしよう。皆が見ているわ」
「そうだな、さて、どうするかな」
則武が楽しそうに笑う。
「ねぇ、清、則武が悪代官になったよ。どうすると思う?」
「まっ、奴のことだ、ど派手にやらかしてくれるだろう」
則武の考えなどお見通しの裕樹と清は、則武の動向を期待の目で見守る。