甘い恋じゃなかった。
♡告白チョコレートケーキ






翌週、月曜日。



いつものように出勤すると、少し前を歩く牛奥の後姿を発見した。



「牛奥、おはよ!」



いつものように後ろから声をかけると、いつもとは違いビクッと肩を強張らせた牛奥。




「お、おぉ。はよ…」



そして、すぐに私から視線を逸らし、急に早足で歩き始める。ん?んん?



「ねぇ」


「…なに」


「何逃げてんの?」


「別に逃げてないよ」


「嘘つけ、急に早足じゃん!」



ピタ、と牛奥の足が止まった。そして何か言いたげに私を見たあと、今度は妙にゆっくりと歩き始める。変なの。




「ねぇ、二日酔い大丈夫だった?」



気になっていたことを聞くと、再び牛奥の肩がビクッと跳ねた。少しの沈黙の後、「…まぁ」と何とも歯切れの悪い返事。



「…なんか変なもの食べた?」



今日の牛奥、明らかに様子がおかしい。



「…そんなんじゃないよ。あ、俺朝ミーティングあるから先行くな?」



そして今度こそ私から逃げるようにして早足で立ち去っていった。




…もしかして。



私の頭をある考えが過るけど、すぐに打ち消す。



ないない。だって牛奥と私の仲だよ?ずっと一緒に頑張ってきた同期なんだから。そんなことあるわけないって。





だけど、私のその考えはすぐに打ち砕かれることになる。





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