溶ける部屋
☆☆☆

あたしと健が起こされたのはノック音だった。


「ちょっと、いつまで寝てるの!?」


少し怒ったような伶香の声に目を覚ます。


やばい。


どのくらい寝ちゃったんだろう。


上半身を起こし、まだ眠っている健を揺さぶる。


「明日花? 起きてる? 健がいないんだけど」


郁美のそんな声まで聞こえてきて、あたしはギクリとしてドアの方を見た。


みんな健とあたしがいない事に気が付いている。


当たり前の事だけれど、なぜだか焦ってしまうあたし。


「健、起きてよ!」


耳元でそう言い、体を揺さぶると健はようやく目を開けた。


そしてあたしを見るなり「明日花……よく眠れたか?」と、一言。


あたしは「う、うん」と、返事をして顔が赤くなっていくのを感じた。


まるで夫婦のような会話だ。


「みんなが心配してるし、早く行こう」


「ん? あぁ」


こうして、ようやく目を覚ましたのだった。
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