短篇集
そっとアルバムを手にとって、写真を眺めると、信じられないものが目に映る。
満面の笑みで、当時の親友と肩を組み、ピースをする僕の写真。
今の今まで顔も名前も忘れていた、親友の顔に、僕はすごく見覚えがあった。
「あく、ま…?」
「呼んだか?」
ガチャリ。
出て行ったのではなかったのか、何事もなかったかのように、玄関から顔を覗かせた悪魔は、写真と同じ、満面の笑みを湛えていた。
「悪魔、願い事が決まったよ」
僕は言った。
「僕と友達になってくれないか。」
悪魔はお決まりの台詞を答える。
「それがお前が一番叶えたい願い事なんだな!」

