天国の不動産



ふと、大学の友人たちが口にしていた言葉を思い出した。



『葵まで死んだりしないよね?』



ぞくりとした。

いつ道路に飛び込んでもおかしくない表情。


いつ彼氏と同じ天国に行こうとしてもおかしくない雰囲気。


ここでそんな葵を眺めていたところで、何か出来るわけではないことに、湊は憤りを感じることしか出来なかった。



「葵…」



僕のため息が葵にかかる。


その時だった。



「葵、またここに来てたの?」



見覚えのある女性が葵に声を掛けた。


葵は表情を変えず、ゆっくりと声のする方へ首を回す。



葵の母親だ。



< 51 / 114 >

この作品をシェア

pagetop