天国の不動産
ふと、大学の友人たちが口にしていた言葉を思い出した。
『葵まで死んだりしないよね?』
ぞくりとした。
いつ道路に飛び込んでもおかしくない表情。
いつ彼氏と同じ天国に行こうとしてもおかしくない雰囲気。
ここでそんな葵を眺めていたところで、何か出来るわけではないことに、湊は憤りを感じることしか出来なかった。
「葵…」
僕のため息が葵にかかる。
その時だった。
「葵、またここに来てたの?」
見覚えのある女性が葵に声を掛けた。
葵は表情を変えず、ゆっくりと声のする方へ首を回す。
葵の母親だ。