memory〜紅い蝶と私の記憶〜
「おバカだね〜」


「みんながみんな、僕たちと同じわけないじゃんね〜?」


副総長に対して、結構言うんだね。


いっそ清々しいよ。


「気を悪くしたならすまない」


「い、いや!大丈夫だっ」


お兄ちゃんの言葉に安心したのか、ふっと表情が和らぐ。


あ…この顔知ってる。


知ってるはずなのに、でもやっぱり思い出せない。


ここまでくると、意地でも思い出したくなってもきて。


でも忘れた原因を知るのも怖い。


心って複雑だよね。


「星希たちみたいに憧れてくれる者もいるが、中にはそうじゃないやつもいるんだ」


「…目障りだと、潰そうとしてる族や不良たちのことですね」


「ああ。俺たちは結構敵が多くてな。何も知らずに内側に入れて、箱を開ければ敵でした。なんてことも昔よくあったんだ」


信じて、入れて。


でも本当は紅蝶を潰そうとしてる敵だった。


その時の紅蝶の心情を考えると…とても辛い。











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